朝:おふくろのあじ

 父親を含めたうちの兄弟は、亡くなった長男を除いて皆辛党である。
 なぜか長男だけは甘党だった。
 よって玉子焼きは、母親にとっては"甘くあるべきもの"だったりする。
 異性の第一子が、親にとっては特別な子になるとはよく聞くが、それに加えて彼女はとにかく"家"の人なのだ。
 長男が実家にいない時期(学校やら留学やら)でも、よく甘ったるい玉子焼きを作っちゃ他の家族にブーイングされ「だって**ちゃん(長男)は甘いのが好きなんだもの!」と、よくわからない理由説明してはキレていたものだった。
 今朝、実家に行ってたすぐ上の兄が、"おみやげ"と渡してくれたのは、おにぎりに玉子焼き、きゃらぶきという、まあいわゆる残飯整理セット(笑)
 まあ、これも"おふくろのあじ"か、とつまんだ玉子焼きはやたらとあまったるかった。
 玉子焼きとしあわせの記憶のリンクてのは彼女にとって、亡くなった長男がまだ幼かった頃の「まま、あまくておいしいよ!」の笑顔に張り付いたまんまなんだろうなあ…としんみりする。